「日付変わったな。誕生日おめでと、寿」
「あー、ありがとな」
「去年はアレやったけど、今年はちゃんと一日中一緒に過ごせるからな。有給も取ったし」
「はァ? 有給?」
「うん。だっておまえは『誕生日休暇』やろ? 一緒におりたい思たら、オレも休むしかないやん」
「何考えてンだよ!? 入社して早々、有給なんて取るヤツがあるかよ!」
「早々て…もうひと月以上経ってるやん。それに課長にはちゃんと根回ししてるで?」
「ね、根回し?」
「ああ。『大事な大事なハニーの誕生日やから、休みます。何やったら、自分の誕生日は誕生日休暇要りませんから、明日だけは休ましてください』言うたら、課長がえらい感心してくれはってな。『そこまで言うんなら、休ませてやる。その代わり絶対にその彼女を大事にしろよ』て言うてくれたんや」
「…――」
「さすが、うちの課長やわ。話がよう分かるわ」
「…おまえな」
「なんやねん。照れとんかいな」
「ちげーよ。『明日誕生日のヤツ』なんて言ったらバレバレだろーが!」
「大丈夫やて。うちの営業所だけでも1000人からおんねんで? そんな中で誰が誕生日なんか分かるかいや」
「けど、総務とかだったら分かってっだろ。履歴書保管してんだしさ。休みの申請も総務じゃん」
「大丈夫や、言うてんのに。第一、別にうちの会社の人間とは限らへんやん。入社したてのホヤホヤ君やねんからな。大学ん時からの相手やてみんな思うて。――まぁ、それも間違いやないねんけどな」
「…ったく、おまえはよ…」
「去年は何やかんや、大変やったもんなぁ。おまえが大阪までオレ追っ掛けて来てくれたりとか」
「あっ、あれは、てめぇが仕組んだコトだろーがよっ!」
「まぁ、ほんでも、あの時夜景見ながらプレゼントした指輪、今もちゃんとしてくれてるもんな」
「……しょーがねぇだろ…」
「オレの方は、まさかこんなに早よ貰えるとは思てへんかったけど。やっぱり寿もオレのこと愛してくれてるんやんな」
「…………しょーがねぇだろ…」
「ふぅーん」
「なっっっ、何だよっ?!」
「しょーがねぇだろ、とか言うてる割に、なんやカオ赤いねんけど?」
「んなワケねーだろっ!」
「ふぅぅーーん。その割には、なんや胸ドキドキしてんねんけど?」
「あっ、てめぇヘンなトコ触んなよっっ」
「ええやん。どうせ明日休みやねんし。何やったら一晩中でもええねんで?」
「ばっ…」
「まー、イヤなんやったらこのままサッサと寝てもええけど。久し振りにサービスしたろか思とってんけど」
「…――」
「寿くんの23回目の誕生日を、全身でお祝いしたろて思とってんけどなぁ…残念やわ」
「とか言いながら、どこ触ってんだよっ!」
「ああ、もうホラ。なんやええ感じみたいやけど…気ぃ進まへんねやったら無理することないわな。心も身体もお祝いしたいなぁ〜て思っただけやねんけど」
「…っ、このヤ…ロ…」
「オレのこと、愛してないんや?」
「誰がンなコト言っ、っぁ!」
「愛してへんねんなぁ」
「ちが…」
「ほな、愛してる?」
「…――」
「なぁ」
「…――」
「言われへんねやったら、行動で示してくれてもええで?」
「…――」
「なぁ、寿…さして?」
「…――」
「なぁ、て」
「――明日の夜は練習出るんだかんな。それまでには起きれる程度にしろよ」
「努力はしてみるわ」
「おいコラ!」
「まぁええやん。練習も誕生日休暇っちゅーコトで」
「っていうか、何でオレの誕生日なのに、オレが妥協しなきゃなんねぇんだよっ!」
「だからサービスしたる、て言うてるやん。な?」
「…っっ…」
「愛してるでv」
「…バ、カ淳…」
「バカは心外やなぁ。せめてアホにしとってや」
「この…アホ…っ」
「『アホ』いうんは、関西人には愛ある罵倒なんやv」
「言ってろ」
「あ、否定せぇへんの」
「して欲しいのかよっ」
「いぃーやぁ。べっつぅにぃ〜」
「愛してねぇとは言ってねーだろっ!」
「――…」
「何だよっ、その沈黙はっ」
「――ありがとう、寿。最高の誕生日プレゼントやわ」
「誕生日なのはおまえじゃなくてオレだーっ!」
「なんやもう。冗談の分からんやっちゃな。まぁでもそんなトコも愛してるけど」
「恥ずかしい言葉連発するなーっ」
「なんでぇな」
「…っ、もったいねぇだろっ!」
「なんや、惜しまんでもナンボでも言うたるで?」
「言わなくていいって! あっ、おい離…」
「照れ屋さんやからな、寿くんはv」
「…っあ――」
「まだまだ夜は長いでv」
「こ、のヤロ…〜〜っ…」


暗転。


――『ALWAYS』第2部に続…きません(笑)――


おそまつさまでした。






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